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“東京発”のアイウエアに感じるカルチャーの“匂い”

今回『Tokyo Summer Glasses』に参加している、EnaLloid、恵那眼鏡ENALLOID、MASAHIRO MARUYAMA、Bobby Sings Standard,、YUICHI TOYAMA.。それぞれクリエイションのアプローチは異なれど、ひとつの共通点がある。それは彼らが東京を活動の拠点としていることだ。今、彼らを筆頭に東京発のインディペンデントなブランドが、次世代のアイウエアシーンを切り拓こうとしている。
 
“東京発”のアイウエアに感じるカルチャーの“匂い”イメージ1
 
イベントのタイトルにしてもそうだが、“東京発”とカテゴライズするにはワケがある。日本の眼鏡はおよそ9割が福井県鯖江市で生産されているため職人や工場がこの地に集中しており、じつは東京を拠点とするブランドは少数派だ。けれど、彼らは皆東京でデザインすることに意義を感じ、あえて拠点を置いている。そして様々なカルチャーが生み出される東京のリアルな空気を肌で感じ、異業種のクリエイターとの交流からも刺激を受けながら、自身のクリエイションに落とし込む。それゆえか、彼らの作るアイウエアからは音楽やファッション、アートなど、どことなくカルチャーの“匂い”が感じられる。それこそが、他にはないブランドのオリジナリティとなっているのだ。
 
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また、彼らはことさらに“ジャパンメイド”を謳わないが、いずれのブランドも福井県鯖江市、岐阜県恵那市といった日本の眼鏡産地で生産されている。新しいアプローチを試みるブランドは作りに難があることも少なくないが、むしろ彼らの革新的なデザインは産地の高度な技術抜きには成り立たない。YUICHI TOYAMA.の「ダブルダッチコレクション」における一筆書きのような繊細なライン、MASAHIRO MARUYAMAの真骨頂である手描きのラフスケッチの要素を落とし込んだ有機的な造形などなど……。いずれも眼鏡としての精度を保ちながら具現化するのは、屈指の工場をもってしても困難であったことは想像に難くない。デザイナーと職人の試行錯誤の賜物である凝った技巧と仕上げの美しさには、眼鏡通ならずとも魅了される“強度”が宿っている。現在彼らのアイウェアが、国内だけでなく海外でも高い評価を獲得しているというのも頷けるところだ。
 
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各ブランドともに自身のクリエイションに正直であり、そのアイデアはときに斬新だが、フレームの佇まいはいずれも洗練されている。一見個性的に感じられても、憶することなかれ。実際に掛けてみると決して行き過ぎた感じはなく、掛ける人のキャラクターを引き立たせてくれる。ぜひ会場にて、自分の目(顔?)で確かめてみてほしい。
 
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原稿=伊藤 美玲
Text/Mirei Ito